メールとどきました。平成16年2月17日

皆様へ

NORICOです。
お忙しい中、たくさんのあたたかい御協力を頂きまして
心から感謝致しております。
「北九州市の野犬薬物処分」についての経過報告を致します。

■ 最後まで残った疑問について ■

昨夜遅く、やっと最初にこの件をメールで知らせてくれた方と
連絡が取れました。
私の知らないメールアドレスでしかも匿名で頂いていたので
最初のメールを頂いた時点ではわからなかったのですが
私の良く知っている人でした。

彼女はインターネットでこの件が予想外の反響を得られた事に
多少のとまどいを感じていましたが、夜中3時半までかかって
彼女が実際に見た現地の状況や、管理センターの対応について
語ってくれました。

その中で特に気になった事が2点あります。

1.犬達の居る場所は、管理センターが言う通り、
誰もが容易に足を踏み入れられる場所では無い。
住宅街の道路から見ても、どこに犬達が居るのかわからない。

2.中に何頭か去年生まれた若い犬がいる。

これらの事が「疑問」として私の頭の中に残りました。

こんなに人間の生活から離れた場所にいるのに、
なぜ、犬達の存在に苦情が出るようになったのか?
彼女は、犬達に「餌をあげている人がいて、管理センターに
苦情が行くまでは、その人だけが犬達の居る場所を知っていて
草を掻き分け餌を与えに行っていた」と言いました。
おそらくその餌やりが原因で、犬が餌を貰いに、比較的
人間の生活の近くまで出て来たのでしょうが、
現場近くに住み、犬の散歩に近くまで来ている人の話では
「犬達の姿は見た事が無い」そうです。
犬が人の近くに居ないのなら、危機的状況は予想し難く、
今回の措置はやはり「条例違反」ではないのか・・・?

その苦情を受けて管理センターが実際に行動を起こしたのは
昨年12月です。
当初犬は全部で12頭いましたが、うち4頭を捕獲器などで
捕獲、殺処分しました。
その後も、捕獲器を何度か仕掛け、全頭を捕獲する予定でしたが、
仕掛けた捕獲器が何者かによって壊されたり盗まれたりしたため、
この方法を断念、今回の薬物による処分に至った様です。
ただ、昨年12月に初めて現地調査をし、犬の居る場所や頭数、
被害の状況を調べた時には、12頭の中に今は4〜5ヶ月に成長している
子犬が何頭かいたはずです。
なぜ、その子犬を保護しなかったのか?
子犬がいるとわかっていて保護する努力をしなかったのは
職務怠慢ではないか・・・?
子犬までもが「人畜その他に対する危害防止のため緊急の必要が
ある場合」に相当するのかどうか・・・?

この2点を「条例違反」「職務怠慢」と言う事で管理センターに
抗議質問を致しました。
先のメールに記載しました質問事項と併せて下記に
管理センターの回答を記します。

<条例違反について>
空地に犬が居付いているとの苦情が寄せられたのは約5年前から。
その頭数が少しずつ増え、地元の方が餌を与えるようになって
人間の近くに出てくるようになった。
普段は人が入らないところだけれど、お花見の季節には
近くの公園に子供連れで来られるので、その季節までに
駆除を迫られた。
何度も何度も現地を調査し、住民の話しを聞いて、その結果
犬達がいると危険な状態になり得ると判断した。
今は特に危険な状態ではないけれど、条例には違反していない。

<子犬を見捨てた職務怠慢について>
昨年12月に、相次ぐ苦情を受けて初めて現地調査を行った。
犬が全部で12頭確認でき、そのうち3〜4頭はまだ小さい
子犬だった。
もちろん捕獲を試み、捕獲器なども使った。
その後成犬ばかり4頭を捕獲できたが、人間による飼養は不可能と
判断し、全て殺処分とした。
でも、再三現地へ行き捕獲を試みたにも関わらず
ついに子犬は捕獲できないまま大きくなってしまった。

<飼い犬をけい留しておく事の記載について>
この事は、告知前の2月6日に、周辺の町内に回覧板にて
警告をした。
他にポスターも貼っている。

<近隣の市町村に対して>
本件についての報告は、きちんと条例通りに行っている。

また、薬物使用に至った経緯は、捕獲器による捕獲を
捕獲器を壊される、犬が捕獲器を警戒するようになったという
理由からこれを断念、最終手段として今回3年振りに使用する事を
決定したとの事です。
使う薬は、先のメールでもお知らせしました「フェノバルビタール」で
場合によっては、かなり高い確率で死に至る薬だとの事。
当日は、薬物入りの食餌を置き、犬が食べた事を確認したら
残った物は全て回収、もちろん、現場には職員が
他の野生動物や飼い犬、猫が来ないように充分に注意を払うと
言う事でした。

■ 北九州市長の疑惑について ■
ここへ来て、今回の措置が「北九州市長」の許可無く
行われるのではないかという疑惑の声があがりました。
これを受けて今日、北九州市長秘書室に確認の電話を入れました。
そして、返って来た答えに「唖然」としてしまいました。
実際は市長は全くノータッチです。
書類には目も通していないし、管理センターが何をやろうとしているかも
全く把握していないとの事でした。
市長は「いちいち全ての書類に目を通すわけじゃない」そうです。
それならば、市長の仕事って一体何なのでしょう?
私は「犬達が殺されようとしてるんですよ!それも条例に違反したやり方で
殺される可能性もあるんですよ!」
と言いましたが、返って来た答えは「そうですか」のひと言!
何のための条例なのでしょう?
他の地方都市向けの外面なのでしょうか?
今回の「野犬駆除」は北九州市が公務として行う事です。
市長が「知らない」では、話しになりません。
ですから、実際は「管理センター」の「やりたい放題」なのです。
犬の危害が「緊急を要するとは思えない」状況にある中で
今回の処分が実行されるのは市長の監督不行き届きとも言えるでしょう。
北九州市は、犬猫の殺処分数でも残念ながら常にワーストに入る都市です。
市を挙げて処分数を減らして行く努力をしなければ、改善にはならないと
思います。
この「知らぬ、存ぜぬ」の対応については、今後も頑として抗議を
続けて行きます。
皆様も、ぜひ宜しくお願い致します。

北九州市長(秘書室)
TEL:093-582-2127
FAX:093-562-0710

■ メディアについて ■
皆様の御協力のおかげで、ようやく重い腰をあげようとしてくれています。
電話やFAXで「取材依頼」が殺到していると、ある新聞社は言っていました。
大手の新聞4社はすでに取材依頼をして下さっており、
うち1社は、当日同行取材をしてくれる事になりました。
記事になるかどうかはわかりませんが、「何とかして助けたい」という
多くの方々の思いが通じたのだと思います。
メディアに取り上げて貰えれば、動物達のおかれている現状を、
もっと広く世の中に知って貰えるチャンスとなります。
彼らはなりたくて野良になったわけではない。
なぜ、野良の生活を強いられているのかと言うこと、
そして人間にとって「有害」であるため殺され続けている彼らの姿を、
ありのまま世の中に伝え、真に悪いのは、この犬達ではなく、
管理センターでも無いと言う事をひとりでも多くの人達に
考えて欲しいと思います。
御多忙の中、マスコミ各社に取材を要請して下さった皆様、
心から感謝致します。

私は明日も、テレビ局への取材依頼、ローカル局のニュース番組に
直接取材を依頼して回ります。
実際に何が起こっているのか知らない人が多い中、テレビの力は
絶大だと思いますので、どうか皆様もお力をお貸し下さい。

九州朝日放送 「スーパーJチャンネル」kyushu-okinawa@kbc.co.jp
RKB毎日放送 「今日感テレビ」kyokan@rkb.ne.jp
テレビ西日本 「TNCスーパーニュース」houdou@tnc.co.jp
FBS福岡放送 「ニュースプラス1」http://www.ntv.co.jp/plus1/
TVQ九州放送 「ニュースアイ福岡」http://www.tvq.co.jp/program/newseye.html

■ 犬達の今後 ■
多くの方の願いとは裏腹に、おそらく市は一度下した措置を
何が何でも決行しようとするでしょう。
でも、多額の税金を使って仕事をしているわけですから、
(ちなみに犬1頭を処分するのにかかる税金は、約1万円です。
今回の事ではもっと多額の税金を使っていることは必至です)
市民に恥ずかしくない、子供たちのお手本となる仕事を
して欲しいと思います。
野良で生まれ野良のまま何年も育った犬は、人間との接触を
ほとんどしていないので、もしも里親さんを探すとしても
非常に難しいと思われますが、昨年生まれた若い犬は
子供の頃から餌付けをされ、比較的人に近い場所で
育っていますので、年月はかかっても愛情をかけて育てれば
必ずなついてくれると思います。
この若い犬達だけでも助けてあげられないか、
管理センターは、市民の税金を使って殺す事だけに専念せず
生かす努力もして欲しいと、何度も何度もお願いをしました。
管理センターの山本所長は「獣医」です。
動物の命を救うのが「獣医」ですが、殺せるのも「獣医」です。
そして、今回、たとえ全てを殺したとしても、それは決して
根本的解決では無い、二度と同じ運命をたどらなければならない
哀しい犬が増えないように、動物愛護の原点に戻り
啓発活動に努めて欲しいと訴えました。

この事は最後まで望みを捨てず、明日も要望して行くつもりです。

■ 私達にできること ■
私は、最後まであきらめずに彼らを「殺さないで!」と
訴えて行くつもりです。
上にも書きましたが、管理センターは多くの人々の要望を聞き入れる事無く
処分を決行してしまうでしょう。
大きな団体に相談をすると「生かすためには代替案を提案しなさい」と
言われます。
もちろん、声高に「殺処分反対!」を叫んでも、それが解決策にならない事は
頭ではわかっています。
今回の管理センターの決定を「仕方無い」事だと言う人も出て来ています。
「仕方無い」と諦めた時点で、彼らの「命」は終わります。
今まで、多くの事例で「仕方無い」と諦めて、多くの「命」が散って行きました。
「代替案が無いのなら、仕方無い、諦めなさい」と言われて、
「はい、そうですか」と引き下がっていたら、今までと何ら変わり無いと
思います。
だから私は「仕方無くても殺さないで!」と言い続けたいと思います。
そうしなければ、彼らの「命」は何だったのだろうと思うからです。
あの犬達も人間と同じ言葉が話せたら「死にたくなんかないんだ!」と
言うでしょう。
みんな誰かに愛されるために生まれて来た子ばかりです。
野良になりたくてなったわけでもありません。
せめて彼らが「生きた証」を残したい、人々の心にずっと残って行って欲しい
そして、二度と彼らのような「不幸な命」を作らないように
そのために、彼らの処分を「仕方無い事だ」と諦めたくはありません。

今の世の中は動物達にとって決して住み良いとは言えません。
この現状を「変えて行きたい」と思っておられるなら、
どうか「仕方無い」と諦めずに、一緒に「殺さないで!」と
言い続けて下さい。
そうする事が、代替案を考えるよりももっと基本的な事なんだと
私は思います。
現実問題に対処するには、官と民が一緒になって努力をすれば
必ず道は開けて来ると思います。
今は、問題を打破するために、一般市民、それも心有る
一部の人だけが頑張っているように思います。
そうではなく、まず行政が、そして全ての一般市民が
動物の好きな人も嫌いな人も、みんなが協力して問題解決に向けて
努力を続けて行くべきだと思います。
実績のある一部のボランティアさんだけに頼る時代はもう終わり、
ひとりひとりが身近な問題、自分の事として考えて行かなくては
いけない時代に来ているのではないでしょうか?

彼らに残された時間は、あとわずかです。
どのような結果になったとしても、現実を直視する事、
それを心の中にずっと留めている事が、今、私たちが
彼らのためにできる最後の事なのだと私は思います。